大判例

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福岡地方裁判所 昭和43年(ワ)961号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一、原告が昭和四一年八月二三日午後、被告において請負つた福岡市香椎所在福岡女子大学の校舎新築工事現場二階の人研台支壁作り作業に従事中、右人研台の下落により負傷を受けたこと、右人研台が工作物であること、は当事者に争がない。

二、そこで、人研台の下落が原告主張のとおりその設置の瑕疵によるものであるか否につき判断する。

1 本件人研台の下落とそれによる原告の受傷とは前記のとおり当事者間に争のないところであるから、右事実からするならば、原告の受傷は右人研台の設置の「瑕疵」によると一応推定せしめる。

2 しかしながら<証拠>を総合すれば、次の各事実が認められる。

(一) 本件人研台は、先端部分は床から約六三センチメートル、壁からの幅約五〇センチメートル、長さ約一八〇センチメートル、厚さ壁との取付部分で約二〇センチメートル、先端部分で約一〇センチメートル、重量約二〇〇キログラムの構造を持つもので、先ず、コンクリートブロック壁を作り、右壁の中に人研台中の芯となるべき鈎状に曲げられた鉄筋三本ないし四本を埋め込み、右人研台の各鉄筋はそれぞれ別の鉄筋で十の字形に結束されて網の目状となつて壁に取付けられ、しかる後板囲をしてコンクリートを流し込み作り上げられるものであり、その下に煉瓦の支壁を築いて初めて固定されるものである。しかして本件当時一応コンクリートは固つていたが、なおそれ自体では何等かのショックで右ブロック壁との結合部にひびが入るおそれがあつた。

(二) さらに右人研台は右支壁の作成前にその上面、側面、前面の人造研ぎ出し工事を実施したところから、右支壁が完成するまでは危険防止のため、被告において製作中の全部の人研台の下に、その重量負荷に力学上耐え得る算木(日本杉一等材三センチメートルと六センチメートルの角材)を二本支柱としてはめ込み、これによつて事故の発生を防止することとしていた。

(三) しかして、右算木は人研台の下にあてられる場合には鉄槌で叩きはめ込まれるし、その取除きも容易にできるものではなく、鉄槌様のもので叩かないと取除き得ないものである。

(四) 被告の現場監督である高橋好春は原告に対し本件人研台の支壁作りを指示した際、右人研台下の算木は危険防止のため絶対はずさぬよう、作業の実施上不便であるならば、右算木をすげ変えるよう指示を与えたものである。

(六) 原告は、右支壁作り作業にとりかかつた当初は右高橋の指示に従つていたものの、作業途中で右高橋の指示に反し右算木を全く取除き作業に従事したため、右人研台は、コンクリートブロックとの取付部にひびが入り傾斜したものである。

(六) 人研台の支壁作成の工事過程としては人研台が作り上げられてから後に取付けられるのが通例である。

<証拠排斥>略

三、以上認定にかかる事実を総合すれば、被告においては損害発生防止のための設備をなしたものというべく、よつて前記の如き推定にもかかわらず本件人研台の設置につき、原告が主張するような民法第七一七条第一項所定の「瑕疵」が存在したとは認めるに至らない。

したがつて、原告の本訴請求はその余の事実につき判断するまでもなく、この点において既に理由がない(鳥飼英助)

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